【19カ国目】ネパール
ヒマラヤを抱く天空の国、ネパール。
出会った旅人に勧められて向かったそこ国には、懐かしさが溢れていた。
聖地カトマンズ。
ネパールの首都カトマンズはかつてヒッピーにとって聖地だった。
世界最高峰ヒマラヤ山脈も近くにあり、いろんな意味で天国に近い。
おれはカトマンズほどドラッグのバイヤーが堂々としているのを見たことがない。旅行者はだいたい手を出しているんじゃないかな。でもおれはやらなかった。なんかそこを越えちゃうと何でもできてしまいそうで怖かったんだ。「タバコより害がないよ」って勧めてくるやつがいる。そうなのかもしれないけど、お前ら見たらやる気なんて出ねぇよ。中学生がタバコに憧れるような感覚で、本人は人と違っていてカッコいいつもりだけど、実際たいしてカッコ良くない。中学生ならまだ可愛げがあるけど、大人だとみっともないだけだろ?毎日まじめに働いているおやじたちのほうが何倍もかっこいいぜ笑。
街には路上で起きて、朝からドラッグやる子供たちが集まっている。ラリった眼で世界指折りの排ガス充満都市の空を見上げている。野良犬を投げ合って遊んでいる。もう少し大きくなったら、あそこで立っているやつらと一緒にドラッグを売って生きていくんだろうな。
何かに抵抗しなければ、人は腐っていくみたいだ。
そばに寄ってきたやつらと話してみた。地方の村から出てきたやつがほとんどで、おれがそいつの村に今度行くって話をしたら、すごく嬉しそうに村のことを話してくれた。「村に戻れば?」ってきいてすぐ後悔した。あの顔をどう表現すればいいのだろう。一線を引いた瞬間の顔とでもいうのかな。それ以上はきけなかった。きく覚悟がその時のおれにはなかった。人には誰にだって聞かれたくないことがある。何をきいても的外れな質問になる気がした。
おれには何ができるんだろう。
てか、おれは何かするべきなんだろうか?
世界は深いぜ。知らないことがめちゃくちゃたくさんある。
数日後に訪れたそいつの村は、おれには静かな田舎で、きれいな良いところだなという印象しか与えてくれなかった。それどころか、家もきれいな水も食料もある田舎の方が都会よりも良さそうだった。
本当の意味で「知る」ってことは大変だ。
いまもあいつはカトマンズのあの空を眺めているのだろうか?
「知らない」っていう怖さはときどき感じる。
他国・文化・現実・そして自国。
「知らない方がいいこともある。」
確かにそうなのかもしれないけど、おれは反対だな。
どんなつらいことでも、大事なのは知った後にどうするかでしょ?
知らないってことは興味すら持てない。
多くを知ることが、多くを身近に感じる術だ。
「興味ねぇなぁ。」そう思えるのも実は幸せなこと。
本や他人から知識を得るだけじゃなく
実際に自分の目で、耳で、肌で得たものを頭にぶち込もう。
それが本当の「知る」ということだと思う。
ドアが多い家。
知らないおっさんが入ってきて飯食ったり、ヤギが入ってきたり。
ドアの数が増えると出入りが増えるみたい。
なんでたくさんあるのか聞いてみた。
「ドアは一つだなんて誰が決めたんだ?」
言われてみれば、確かにそうだよな。
まだまだおれの頭は固かったみたいだ。
最初は全部「へ理屈」って言われた。
実績を出したら「美学」って言われた。
旅中、思っていたよりも多くの日本人に出会ったが、それと同じくらい出会ったのが中国人と韓国人だ。日本人かと思って話しかけたら韓国人だったってこと多かったし。もちろん逆におれが間違えられたこともあったけど。
はっきり言っておれは中国人・韓国人に良い印象を持っていなかった。電器屋で働いていた時、中国人はたいていがめつかったし、ワールドカップやWBCでの韓国はいつも怖いくらいだ。
でも今回知り合った人たちからは全くそんな印象は受けなかった。海外に関心のある人たちだったからかもしれないが、親日・親韓・親中の人ばかりだった。基本的に親切だし、お互いの文化や習慣をある程度知っているからわかり合うのも早かった。もちろん欠点もよく知っているしね。
ただ寂しいなと感じたのは、話すときにお互い英語で話さなくちゃいけなかったこと。東アジアの仲間なんだから中国語・韓国語・日本語のどれかで話したいよね。まあ、おれも話せないんだけどさ笑。
あと、中国人って欧米人っぽいんだ。周りを気にしない感じが。で、同じアジア系だから、欧米人よりもずうずうしいところが強く感じちゃう。欧米はすごく違うイメージだから納得できるけど、中国は近くて親しみがあって似ているから、「なんで見た目は似ているのにこうも違うの?」ってなっちゃうんじゃないかな。
でもこの三ヵ国がもっと協力し合えたら、アメリカもEUも目じゃない共同体になると思うけどなぁ。中国の資源と人数、韓国のパワーと勤勉さ、そして日本の技術力と人望。そこに他のアジア各国も巻き込んで…。そんな時代、アリだよなぁ。
そういやぁ、おれはアジア人だ。
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