【20カ国目】インド
多様なものが多様なままに。
スパイスの香り漂うこの国は、思った通りの刺激的な国だった。
インドの聖地バラナシ。
24時間途切れることなく続く死の儀式。
ここは「火葬場」ではなく、やはり「ガート」だった。
親族・野良牛に見守られながら肉体が灰になっていく。
あるおっさんが言う。
「おれはここで死ぬために、ここで生きているんだ。」
天に昇るのではなく、ガンガーに抱かれるという常識。
常識ってたくさんある。
「でも常識って一体なんなんだ?」
インドではそんな想いがわき上がってくる。
ここには当たり前の死と、ウソみたいな生が存在しているから、
考えられないことやドキッとすることが多い。
でも妙に納得できるのは、それがあまりに自然だからなんだろう。
常識を超えるからこそ美しい。
「生きる」の反対語は「死ぬ」じゃない。
どちらかというとイコールだ。
終わりを意識することで生きるフットワークが軽くなる。
行動力は「いつかは自分も死ぬ。」という意識から生まれる。
行動力がない人っていうのは、きっといつまでも、
少なくとも平均寿命までは生きられると思っている。
そんな保証なんてどこにもないのに。
そうだよな、おれもいつか死ぬんだよな。
あなたはあと何回誕生日を迎えるつもりですか?
50回かもしれません。いやいや100回かもしれません。
でも、もしかしたら、もう1回もないかもしれませんね。
タクシーに乗る、物を買う。
何をするにしても必ずぼったくってやろうとしてくるやつらがいる。しかも一人や二人ではなく、ほとんどがだ。最初から「ナメてんのか?」って内容を言ってくるやつはまだかわいいが、ちゃんと交渉したのにイチャモンつけてくるやつにはいつもブチギレてた。タクシーで、「~に行きたい。」って言ってんのに、「~のほうがいいぞ!」って連れて行こうとするやつも嫌だったね。「おれの行き先を何でお前が決めんだよ?」って笑。
「メーターできっちりやっているタクシーよりも、ぼったくろうとしているやつらの方が楽しそうに仕事しているよなぁ。」なんておれの機嫌が良い日もあったけど、まぁ90%戦闘だったね笑。
でも、あの人たちもそうしなきゃ生活が大変なんだろうなとも思う。先進国とされている国ではそんなことはほとんどなかったし。
現地ではすげぇめんどくせぇと思っていたことだけど、
今ではちょっぴり懐かしい気もする。
日本では本気でぶつかることが少ないからかもしれないな。
夢を叶えるために生きるのか?
愛を求めるために生きるのか?
それとも、人生を終わらせるために生きるのか?
答えは一人一人ちがう。
そして正解も一人一人ちがう。
本当だから信じるんじゃない。
信じるから本当になる。
本当のことは誰にもわからない。
信じた方を選べばいい。
コルカタにあるマザーテレサの家で『地球の歩き方』のボランティアで来ている人たちに会った。ほとんどが大学生でおれと同じ年代だ。
一緒にご飯を食べさせてもらったりしたけど、みんなやる気に満ちていて、楽しそうで、何より明るかった。長く旅している人の中には「負のオーラ」みたいのが出ている人もちょくちょくいるけど、こうやって目的持って来ている人は明るいよな。なんだか、おっさんが高校生を見ると「キラキラして見える!」っていうのがちょっとわかってしまった笑。
同年代の魅力あふれる人たちに出会えてやたら嬉しかった。
なんだかわからないけど、すげぇ嬉しかったんだ。
でもおれも負けねぇからな。
インドはすごく貧しいイメージがあったけど、実際それを感じることは少なかった。スラムと言われている場所でも他と見分けが難しかったし。短い期間ではとらえることができないのか、それとも本当に改善されているのか。ただ、会話していると上のカーストの人は必ず自分のカーストは上位だってことをアピールしてきた。「外国人にバカにされないように。」とでも思っているのだろうか?おれらは逆にそういうことを言われれば言われるほど残念に思ってしまうのに。
マザーテレサのボランティアハウスに参加してみたりして、貧しさってものに貢献してみようと思ったけど、その場で貢献できることなんてほとんど無かった。カーリガート(死を待つ人の家)のじいさんたちは意外とファンキーで、飯もモリモリ食べてるやつもいて全然死にそうじゃなかった笑。もちろん中には一人じゃ何もできない人もいて、食事や入浴を手伝ったけど、それ以外では笑いかけることがおれには精いっぱいだった。じいさんたちと壁は感じなかったことは嬉しかったし、貧しいからって落ち込んでいるわけじゃないってことはわかったけど、いまのおれじゃ本当の力になれないなってことも痛感した。個人でできることの限界を感じたんだ。もっと大きな、国レベルで生活を変えていかなきゃ何をやっても効果は出ないと思ったし、そうしなきゃこのままずっと同じことの繰り返しだ。
なんだか人間の力強さもいっぱい感じたけど、個人の無力さってことも同じくらい感じた国だったな。
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